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第1-4 弁護士はどこで力を発揮するのか~

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4 弁護士はどこで力を発揮するのか

支払いの仕組み

はじめにお断りしたように、賠償請求の中身の詳細な解説はしませんが、これからのお話しの理解に役立つと思われることだけ説明させていただきます。賠償請求は、①積極損害、②消極損害、③慰謝料、④物損、⑤過失相殺などの減額事情、に大別して考えるのが一般的です。

損害の第1は①の「積極損害」。「払わされたお金や将来払わされるお金を払え」というものです。具体的には、治療関係費、付添看護費、入院雑費、通院交通費、医師謝礼、器具購入費、家屋・自動車の改造費、葬儀費用、弁護士費用、遅延損害金などがこれに当たります。

損害の2番目は②の「消極損害」。「事故のせいで入らなかったお金や将来入らなくなると見込まれるお金を払え」というもので、例えば、休業損害、後遺症による逸失利益、死亡による逸失利益などです。「逸失利益」は喪失した経済的利益という意味です。「出るお金」を「積極」、「入らないお金」を「消極」とする表現はかなり難解ですね。

そして③の「慰謝料」。死亡の場合と傷害の場合で大きく違います。前者は一家の支柱かどうかなど被害者の境遇で金額が変わり、後者は基本的に入通院の期間によって金額が決まります。後遺症があると、傷害慰謝料とは別に後遺症慰謝料が支払われます。

④の「物損」。自転車を壊されたとか、メガネを壊されたとか、多くの人身事故は多少の物損を含みます。実際の交通事故では、皆さんも経験していると思いますが、人身被害はなく物損だけという事故が非常に多くあります。

最後に⑤の「減額事情」。損益相殺や損害の填補など、事故発生を理由としてすでに何か経済的な利益を得ていれば、その分を賠償額から差し引くことがあります。受け取り済みの自賠責賠償金とか社会保険給付金などがその典型です。被害者ご本人が亡くなっているために支出しなくなったご自身の生活費を損害総額から差し引くのも一種の損益相殺です。これを私たちは「生活費控除」と呼んでいます。

減額事情の中でも重要なのは過失相殺です。被害者にも落ち度がある場合、その程度に応じ補償金の一部が削られます。支払い済みの治療費についても本来なら被害者が負担すべきだった分をこれから支払う補償額から差し引きます。

そのため、被害者の過失が大きいときには、自賠責賠償金以上の支払いはないとされることもあり、まれな例ですが、支払い済みの自賠責賠償金の一部を返せと言われることもあります。多くの場合、保険会社はそういう事態が発生しないように様々な方法で事前に調整し、中には治療費の支払いを途中で止める場合もあります。

ここで金額が変わる

 休業補償・逸失利益・慰謝料などが変わると補償金額の結論が大きく変わります。後遺症の認定等級が変わると労働能力の喪失の程度も変わり、肉体的・精神的な打撃の程度も変わって逸失利益も慰謝料も変わってきます。

被害者にも過失がある場合には、補償額が減額されるのが普通です。例えば、加害者の過失と被害者の過失の割合が7対3とされると、休業補償も慰謝料も本来の支払い額の30パーセントがカットされます。過失割合は事故の発生状況などによって判断されます。事故状況を明らかにするために科学鑑定が登場することもあります。

これらのポイントについて、保険会社は、事故状況に関する保険会社自身の理解と支払い基準に関する保険会社相場で仕切ろうとし、一方、被害者の弁護士は、ここを勝負どころと心得て裁判所相場を持ち出し、科学論争も挑みます。
裁判になり判決まで進みますと、裁判所は、被害者が自分の弁護士に支払う弁護士費用の一部を加害者(実際には保険会社)に負担させます。負担金額は、事件によっても認定する補償金額によっても違いますが、総賠償金額の5~10パーセント程度とされるケースが多いでしょう。

また、裁判所は、事故発生時から補償金支払い時までの遅延損害金の支払いを加害者(保険会社)に命じます。加害者(保険会社)には事故直後から補償金の支払い義務が発生していたと考え、民法が定めた年5パーセントの割合の「遅れ詫び料」を支払わせるのです。超低金利時代の現在、「年5分の利息」はたいへんな高金利です。

被害者の弁護士は、訴訟提起の段階で、本体の請求に弁護士費用や遅延損害金の請求を付け加えており、裁判所は、話し合い(これを「和解」と言います)を成立させようと考える場合には、加害者(保険会社)に対し、これらのうちの一定割合(例えば半分程度とか)を負担しなさいと勧告し、加害者(保険会社)はそれを負担すると答えます。判決になればもっと多くの付加金の支払いが命じられるからです。私たちは、これを「調整金」とか「調整金加算」などと称します。

さて、話を訴訟前の交渉に戻します。被害者の弁護士は、「訴訟になったら弁護士費用や遅延損害金を支払わされるのだから、この段階でも相応の『調整金』を払ってほしい」と主張することがあります。事故から時間が経過していると付加金は無視できない水準になり、これも支払い金額を増額させる要素の一つになります。

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