2.実況見分から始まる
現場を自分で調べる
事故直後の現場に残っている事故の痕跡は、ご自身でも子細に調べることが大切です。縁石に残る僅かな痕跡、路上の小さなえぐり痕(ガウジ痕)、薄く残るスリップ痕…。実況見分の際に見落とされていた痕跡などがないかどうか。現場に何度でも足を運び、丁寧に路上観察をしましょう。「現場百遍」は刑事の言葉として知られますが、あなたも何遍も現場に足を運ぶことで珠玉の真実を発見する可能性があります。
ただし、事故の実情は案外わかりにくいものです。車を運転していたあなたが誰よりも真相を把握しているかと言うと、必ずしもそうでもありません。「こういう事故に違いない」と思いこんでいる場合もあります。交通事故の責任を考える上で鍵になるのは、あくまでも科学的で合理的な分析です。
現場に足を運ぶ目的は、事故の痕跡を発見するだけにとどまりません。現場に行けば、交通状況、信号表示時間の実情、明暗の状態などがわかります。事故発生時と同じ時間帯、天候時を選び、曜日も同じにした方がよい場合もあります。
事故後できるだけ早い時期に現場に行きます。時が経つと痕跡が消えますし、事故後の工事等で現場の様子が変わったり、交通規制方式が変わることもあります。事故後現場の道路状況や交通規制状況が変わっていないかどうか、あらかじめ警察に聞いておいた方がよい場合もあります。
現場を調べる際には、その状況を写真やビデオで撮影します。ご自身の事後確認にも、弁護士に報告する時にも役立ちます。
調べた結果や経験した内容を記録する
「事故前」「事故時」「事故後」の経過は、大学ノートなどに書いたり、パソコンに打ち込んだりしてできるだけ詳しく記録します。
記憶喪失について触れます。「記憶を失っている」ことを「良く覚えている」というのは考えにくいことです。長時間にわたって記憶を失っている場合は明確に実感できますが、事故の瞬間の記憶を欠いている場合などには、記憶喪失感が乏しいものです。記憶の喪失を厭う心情が働いて、「かくかくしかじかであった」と記憶の空白を自分で埋めてしまうようです。そのような記憶喪失が実際には相当多いのではないかと推測する有識者もいます。
わからないことやはっきりしないことは、「わからない」「はっきりしない」と記録し、わかることはできる限り詳細に記録し、保存して下さい。弁護士は、あなたがそのような記録を持参された場合と、ただ話すだけの場合とでは、事案の理解に格段の差が出て、分析の深さにも応答内容の確かさにも大きな差が出るでしょう。
<「1.「責任をとる」とは」へ戻る | 「3.事実調査と資料収集 」に進む>
法律相談・お問合せ
- TEL:03-5275-1180 月曜日~金曜日 9時45分~17時00分まで(12~13時除く)
- メールでのお問合せ・法律相談