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5.検察の捜査

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5.検察の捜査

刑事犯罪

前後しますが、ここで検察捜査をまとめて説明しましょう。刑事犯罪は警察捜査の対象になり、捜査が終われば検察庁に送られ(送検)、検察は警察捜査をチェックして必要な補充捜査を行い、公訴提起(起訴)をするかしないか(不起訴)を決めます。

検察は、しばらく前から、交通事故事件については、よほどの事情がないと起訴しない方針をとっており、この10年ほどは送検事件の8割以上が不起訴になり、最近は不起訴が9割を越えています。そして、起訴事件も大半は簡易裁判所に罰金の支払い命令を求める略式起訴で終わっています。公判(正式裁判)を請求する事件はごく一部の重大事件に限られるのです。

多くの被害者は、加害者が事故後にどのような捜査が行われているのかも、どのように責任が問われているのかも知りません。いちいち捜査当局が教えないこともありますが、事故の被害者が加害者の刑事責任を基本的に理解していないためでもあります。

事故の刑事責任は、まず検察官たちが判定します。判断の素材は警察の捜査結果です。検察官は、あなたが自分を調べてほしいと申し出れば調べる可能性がありますが、内容に警察で述べたことに付け加えることが大してないのなら、あらためて聴く必要はないと言われるでしょう。加害者の態度がその後もひどく悪いとか、このまま軽い刑や不起訴などで終わりにされたくない事情があるので聞いてほしいと強く訴えれば、あらためて事情聴取をしてくれるかも知れません。その結果、検察官が加害者に、「被害者と示談(じだん)をまとめないと刑事処分が重くなる。」などと勧告したりすることもあります。

不起訴か、略式請求か、公判請求か

検察官は、事件の重大性や被害者に対する加害者の対応の実情などさまざまの事情を考え、起訴・不起訴の結論を出します。被害者としては、事件発生の正確な経過や刑事責任の有無や程度に関して被害者としての意見を検察官に正確に伝える必要があります。
刑事訴訟法は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と定めています(248条)。検察官は、加害者を起訴もできるし、不起訴にもできるのです。

不起訴は不当だと考えるのなら、その理由を主張すべきです。主張の具体的な方法は弁護士などにお願いするとしても、そういう方法があることはあなた自身も知っておいた方がよいでしょう。

検察官は、起訴するとしても、略式の罰金請求で事件を終結できます。簡略な方式にするので被疑者(加害者)の同意が必要です(刑事訴訟法461~462条)が、多くの加害者はこれに同意します。

起訴と不起訴では大きな違いがあります。起訴するということは国が加害者の刑事責任を重大と判定したということで、不起訴ということはそれほど重大ではないか、刑事責任が証明されないと判定したことを意味します。

起訴、不起訴の差はさらに具体的な違いをもたらします。起訴されれば(略式起訴でも)捜査段階の記録が基本的にすべて閲覧でき、謄写も可能になります。不起訴だと実況見分調書など最低限度のものしか閲覧謄写できません。この差は、それからの補償交渉や訴訟の材料の多さ少なさという大きな差につながります。被害者の代理人になった弁護士は、公判請求にならないケースでも略式請求にはならないものかと希望します。それは、捜査記録を手に入れることができるからにほかなりません。

不起訴処分に対する不服申し立て

事件について、不当にも不起訴にされたと考える被害者は、検察審査会に審査を請求することができます。審査請求を受けた検察審査会は、検察の捜査の結論の当否を検討します。

起訴すべき事件を不起訴にされたと考えれば、上級の検察庁 (捜査検察庁が地検なら上級庁は高等検察庁)に指導を求めたり、検察審査会に審査の申し立てをして起訴を求めてもらうことも考えます。申し立てれば簡単に検察捜査がひっくり返る訳ではありませんが、納得がいかないときの手だてです。

検察審査会は地方裁判所やその支部の所在地に置かれ、一般から選ばれた11人の検察審査員が審査に当たります。2004年に検察審査会法が改正されました。審査会が起訴すべきだと議決したのに検察官が起訴しない場合、審査会は再度審査を行い、あらためて起訴を議決すると裁判所は事件について起訴しなければならないことになりました。その場合、検察官の仕事を担当するのは弁護士です。新方式は2009年までに施行することになっています。

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