交通事故時の補償解決実績、および著書、講演実績多数 交通事故の弁護士と言えば高山法律事務所

交通事故時の補償解決実績、および著書、講演実績多数 交通事故の弁護士と言えば高山法律事務所

高山法律事務所 takayama law office

  • 小
  • 中
  • 大

意見聴取の結果、処分は軽くなるのか

交通事故の弁護士と言えば高山法律事務所 TOPページ > 交通行政処分 > 意見聴取の結果、処分は軽くなるのか

意見聴取の結果、処分は軽くなるのか

 もちろん処分が軽くなる場合があります。当局の言葉で言えば、「処分量定の特例」や「処分の軽減」や「処分猶予」が適用されることになります。その具体的な内容は、「運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について」という通達(2009年4月30日警察庁丁運発第44号)が定めています。

 まず、「処分量定の特例」の基準です。
いろいろありますが、例えば、「ドライバーの責任とは言えない理由で、違反行為発生順に処分できなかった場合」の特例です。前歴0回のドライバーが一般道で50キロ超過の速度違反で捕まり、行政処分を受ける前に同じく38キロ超過で捕まった場合を考えます。前者は12点、後者は6点、両者を合わせて18点で、1年の取り消しの対象。しかし、このドライバーが12点だけで処分を受けていれば、後者は「前歴1回の6点」ですから90日の免許停止で済んだはずです。処分時期の違いによって結果に差が出ることをどう考えたらよいのでしょうか。

 「基準」は、「点数を累積させて処分量定を行った結果、順に処分した場合に比べ重い処分になるときは、順に処分を行った場合の停止日数まで軽減する」、つまり90日の免許停止にします。「違反行為発生順に処分できなかった理由はドライバーの責任ではない」と言えるのは、例えば呼び出し通知が遅れたときなどです。

 応用問題。処分基準にギリギリでひっかかってしまった場合なども実質的に見れば救済されてよいケースがあるはずです。全体として不合理な結論にならないように配慮するということですから、「実質を見よ、形式的な議論はするな」という話です。もう一つ応用問題。先の事例で、前者と後者の違反が逆(6点が先で12点が後)だったらどうなるでしょう。考えてみてください。

 次に、「処分の軽減」の基準です。
まず次のどれかにあたることが必要です。

  1. 「事故の被害」か「不注意の程度」の少なくとも一方が軽く、危険性が低いとき
  2. 災害・患者搬送などやむを得ない事情があり、危険性が低いとき。
  3. 違反が他の強制によるなどやむを得ない事情があり、危険性が低いとき。
  4. 被害結果を重大にするなど被害者側に特別の事情があり、危険性が低いとき。
  5. 被害者がドライバーの身内で、危険性が低いとき。
  6. 1.~5.のほか、危険性が低く、改善の可能性があるとき。

 この事情が認められるドライバーのうち、「処分を軽減することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者」は30日の処分軽減に、「無前歴者」で「1.~6.のうちの2つ以上に当てはまる者」で「処分を軽減することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者」は60日の処分軽減にそれぞれしてよいことになっています。

 3番目に、「処分の猶予」の基準です。
まず、30日の停止対象ドライバーです。「処分を猶予することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる者」は処分を猶予することができます。次に60日の停止対象のドライバー。「無前歴者」で「1.~6.のうちの2つ以上に当てはまる者」で「処分を軽減することが運転者としての危険性改善に有効だと認められる」は60日の停止対象のドライバーでも処分を猶予することが認められます。

 軽減や猶予をする際の留意点です。
通達は、軽減や猶予をする際の留意点として、次のように言っています。軽減については「事由があったら無条件に軽減するのではなく、違反の内容や運転者としての危険性を慎重に検討し、社会的に相当と認められる範囲内で軽減するようにし、不公平にならないように慎重に検討すること。60日軽減は明確な特殊事情があるものに限ること」。猶予については「ドライバーを必ず出頭させ、十分な説明を行い指導すること」。

 一読されただけでも、こんなに条件や制限がついたら、軽減や猶予なんて実際にあり得るのかなぁと思われそうです。お役所のルールというのはなんともやっかいです(「形式主義を排せ」というリクツをひどく形式的に言っている)。言葉がたくさん並びすぎて、結局、あなたの違反について軽減措置が講じられるのか、講じられないのか、よくわからない感じです。

 それにしてもこのような量定や軽減の基準があるということです。「処分量定の特例基準」は公安委員会が責任をもって実施しなければいけない(ドライバーが言うか言わないかにかかわらない)ルールですが、それでも「ドライバーの責任とは言えない理由」はドライバーの方から積極的に言わなければ、わからなかったと逃げられるおそれがあります。とにかく公安委員会の方から親切に聞いてはくれないということを肝に銘じる必要があります。

 「処分の軽減」や「処分猶予」に結びつく事情に至っては、そのどれもがドライバーから詳細に主張しなければ到底理解されないことばかりです。

 ずいぶん昔の経験ですが、1年の取り消し対象事案を停止120日にさせ、講習を受けて60日後には再び現場でハンドルを握れたタクシー運転手がいました。1977年、茨城県公安委員会でのことでした。本来の対象の処分から一つ下の軽い処分にすることをこの世界では「1ランク下げる」と言いますが、これは「1年の取り消し」から「120日の停止」への「3ランク特下げ」でした。

 警察庁の通達は、意見聴取(聴聞)の現場に広がるドライバーたちの不満や批判、そして現場の担当警察官の実感を強く反映していますが、それにしても警察という役所の形式主義というか腰の重さや融通のなさを痛感します。また、この通達がやっぱり現状を固定する悪しき基準になって、私がかつて経験したような「数ランク特進」のようなケースが逆に聞かれなくなっています。やっぱりお役所仕事だなぁとあらためて感じます。

 この項はとりわけ技術的な話が多く、私の概括的な説明では理解が困難な方もいらっしゃるでしょう。もっと詳しくお知りになりたければ、とりあえずネットなどで上記の通達をご覧になるようお薦めします。

法律相談・お問合せ

▲ページ上部に戻る